再会ー9年の絆 at Brighton

― 「もてなす」ということ。その気持ち


ジョゼフィンは人を「もてなす」のが好きだ。と私はいつも思う。
もてなす。それはどういうことか、いつも彼女に教えられるように思うのだ。
例えば、色々なものを「出す」ことかもしれないし、例えばどこかに「連れて行く」ことかもしれない。

彼女の場合、私が「ロンドンにいる」と言うことをいつも忘れない。
要するに「ロンドンでできないことをさせてあげる」ことが彼女の私へのもてなしなのだ。

ついてすぐ、また前回のように、そして9年前、時間があったときにいつもしていたように、
まずはお茶を作って、パティオに座り、ちょっとしたおなかの下ごしらえをする。
以前のように、パンにバターを塗り(私はいつも下手だと笑われる(笑))、
トマトとレタスとハム。こしょうをかけて、半分に切って、ナイフとフォークを用意する。
その間に私はパティオのテーブルを組み立て、用意し、ナプキンを出してくる。
お茶を入れる前に砂糖を入れ、紅茶を淹れて、ミルクをたっぷり。
そうしながら彼女の頭は忙しく回転している。
そしていつものように彼女の口から
「えっと。今日の午後、これからどうしましょうか。ショッピングに行く?何かしたい?」
という言葉が出てくる。

今回も前回と同じに、「どこかに行く」ことになった。
(本当は、前日遅くまで友達の部屋で語っていたので、眠くて仕方なかったのだけれど)
ロンドンでは見られないものを見に連れて行こう、と思っているらしい。
わくわくしながら彼女が何かをチェックしているのを見る。
そして彼女が「やっているかどうかわからないけれどとにかく行って見ましょう」というのについて、
再び車に乗る。どこに行くんだろう…と思いながら。
車はどんどん北西へと進んでいく。
ちょうど9年前、私がブライトンにいるときに当時の同級生がいたステニングという町を通る。
偶然だ…そういえばあのとき、えみには結局会えなかったんだった(苦笑)。
周りは緑がびっしり。もう向こうの方までみどりみどり。
ずっと向こうに、教会のような建物がある。「あれは、カレッジなのよ」と教えられる。
…思いっきり「山の手」なカレッジに違いない。
どっちにしてもこんなところで勉強できたらいいだろうなぁぁぁ(行くところがなくて飽きるかしら?)
時折、「馬に注意」の看板。馬に乗って通る人がいるのだとか。
…すごすぎる。

ロンドンだって、馬くらいいる。たまにだけれども、ポリスがかっぽかっぽと馬でパトロールしている。
車より遅いと思うけれども、ポピュラー。誰もおかしいと思わないけれども。
(だからBBCはオリンピックで乗馬を放送するんだろうなぁ。いっぱい)
しかしながら、こんな看板は初めてだった。


彼女は私が自然が好きだと言うことを知っている。
彼女の庭「で」宿題をしていたし、芝生にねっころがって昼寝をしていたり、
猫を追いかけたりしていたことを今でも憶えている。
だからこうしてこういうところにつれてくるのだ。
ショッピングは…ロンドンでもできる。
ついでに私は庭について語るのがすきだ(笑)が
彼女は引っ越したばかりなのでまだ色々片付いていないから…と言っていたけれども。

ふと車外を見ると、馬がいる。羊がいる。…たった20分走っただけでこんなにいるんかい。
と言うほど色々いる。不審そうにこっちをゆったり見上げて「Baaaaaaaaa...」…。
着いたところは生憎「実は一般公開していない」らしい…。
が、その日結婚式がそこであったので、何と中まで入れてしまった(笑)
ふたりして「普通の人だったら見られないものを見てしまったわね♪」と言って、
ちょっと回りを堪能する。青い空、柔らかそうな、そしてぱしっと張りのある緑。
どこかの絵に出てきそうなほどの風景。

そこに別れを告げて今度は城跡へと向かい、「廃墟だー」と言いながら歩き回った。
往時を偲ばせるような回廊の跡。城壁しか残っていないけれども、
どんな人が住んでいたのだろうか、と思いながら、そこで色々と近況報告
…するまでもなかったけれども(笑)

彼女は、「連れて行きたい町がある」と言って、私を車に乗せ、
小さな村に連れて行った。
ほんとうに小さな村で、でもかわいらしい。
いっぱいの花と、いっぱいのレンガの建物と。
「ここに住むのは高そうだ」と言いながら「私だったらあの家のあの部屋」と言いながら。

ふたりで車に戻ったときには、もう、彼女の息子たちとの約束の時間まで後少しになっていた。

名残惜しくて、車でぐるっと本当に「ハイストリート」と呼べないほどの小さなメインストリートを
車で通って、Uターンして帰った。                                                   



         


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