話は前後するが、大学受験中、故ダイアナ妃と前後してマザー・テレサが亡くなった
どれだけのショックを受けたことか。
当時の日記を振り返るとこう書いてある
「絶望のあるところには 希望を
悲しみのあるところには 喜びを
MotherTeresa m．c．died
私は精神の指導者を失った
マザー私をお救いください」
普段言葉数の多い私が、たったこれだけを必死の思いで書いた
忘れもしない。家の近くの毎日新聞の窓に貼ってあったチラシで知ったのだ。
どんな気持ちだったか、今でも忘れることができない…。
そして大学に入ったら、どんなに反対されても教会に通おう。そう決意した。
しかし、諸所の事情がそれを許さなかった…
高校の頃通っていた予備校の近くに、CCC、御茶ノ水クリスチャンセンターがあった。
時間ができるとそこでよく本を読んでいて、今もっている聖書もそこで買ったもの。
そしてクリスマスの馬小屋も、小さいものを自分用に…と買い、そこでテレーズに思いがけなく再会
「あぁ、この人だっけ。どんな人だったかしら」
でもその「我がテレーズ愛の成長」という本でなかったのでさだかではなく、読むことを見送っていた。
時が至っていなかったのだろう…私は、テレーズに重なるものを持っていなかったから。
けれどそこで私は、サンパウロとドンボスコの存在を知った…
大学に入ってから、私は教会に通おうとしたものの、家族の大反対にあった。
分からないわけではなかった…けれど、もう充分に待った…という思いがあり、満たされることなく辛かった。
洗礼を受けたい。 主に一致したい。 教会へ通いたい。
教会に通うことを許されないことが私にとても重くのしかかってきていた
その渇きを癒すかのごとく私は知識を身につけようと必死になった…
なぜかって？洗礼を受けたい。その時にする勉強を、今のうちからできるだけしたい
その欲求を満たすため。
11の時に洗礼の望みを持ってからすでに7年の歳月が過ぎていた。
テレーズとの再会の舞台は整った。
サンパウロに通い始めのある日。もちろんその本、「わがテレーズ・・・」を捜し求めてその日も行った
が…あいにくサンパウロは閉まっていた…諦めきれない私は、上智大学のほうへと向かった。
その日、新しい大聖堂の献堂式があったのでごった返していたけれどもまっすぐにお店に向かい本を見て
…あった。あった！！！
でも妙にその隣にあった自叙伝が気になった。そして、その横の「テレーズその祈りと苦しみ」
なぜかわからない。けれど、なんと一気に3冊手に入れて家路に・・・
私の中に彼女への畏敬の念が生まれ始め…それが再会の礎になっていくとはそのとき思いもせずに
そのときはやはりそれでもまだ「分からない」部分が多くあったとはいえ、心が温まる…。
もちろん、今でもだけれど(笑）＜分からないのは
それから1年後。
私を襲った大きな試練…何度「信仰をもっているから」受け入れてもらえなかった自分に対して
悔しく思ったか知れません。「信仰さえなければ、これさえなければ…」と思ったことすら。
言わば信仰の試練。これを越えなければ、「信じる」ことはできなくなるだろうというほどの…
その時、私を救ったのが、彼女、テレーズだったのです。
祈りも忘れ、ただただ何もせずに何ヶ月もの間彷徨いつづけていた私を主の下へ引き戻したのは
彼女の、試練に向かう時の主への完全な委託でした。
私から大切なものを取り上げた主は、私を貧しくなさろうとしている…
主よ！私から全て取り上げてください！
テレーズのこの叫びが私の心を捉え離さない。
全ての栄光を神に帰し、己は空の手で命の夕べに主のみ前に立つ…
少しずつ立ち直っていく私は、彼女の心を通して、彼女のやり方を通して、
少しずつ十字架のもとへと、戻っていったのです。
教会にいくことを許されなくても。洗礼をたとえこの先何年も受けられなくても…
私の居る場所はここなのだ、と。
テレーズは私の中で確かに息づき、彼女の教えを私の中に砂が水を吸うように、
荒地の乾いた土のように 谷川に水を求めてくる鹿のように
私は彼女の取次ぎで確かに主の下へと帰っていったのです。
私の使命、それは愛です。
彼女が死の間際に、珍しく口にした己の「使命」でした。
そしてその彼女の思いが、全てのテレーズの娘達に伝わるものなら、これはまた、私の使命でもありましょう
私の使命、それは愛です
人を愛し、その心を愛し、主を、主であるがゆえに愛し
世界を愛し、苦しみをも愛し。
曇り空でも、鷲の雛は空を見上げるのです。
その分厚い雲の向こうに太陽があることを知っているから、太陽を見たくて
曇っていても空を見上げるのです…