落下する夕方


著者:江国香織
出版社:角川文庫
ISBN:4-04-348001-6


知り合って10年で、一緒に暮らして8年のオトコが、
ひとりで引っ越そうと思う、と突然告げたら、どうなってしまうだろう。
しかも、それがたった1週間前に出会ったたったひとりのオンナのために。
そして、何を間違ったのか、そのオンナが元恋人の代わりにやってきて
一緒に暮らすことになってしまったらどうなるだろう。

…とまぁ、そういう話です。
8年一緒に暮らした健吾が梨果と住んでいたマンションを独りで出て行きます。
入れ替わりに、健吾の新しい恋人(?)の華子がやってきます。
梨果は戸惑いながら華子を受け入れ、さらには、彼女に好意を覚えすらしていきます。
奇妙な華子と梨果と健吾の三角関係。
一緒にいる限り、健吾と華子の関係からは逃げることはできないけれども、
健吾がやってくるのは嬉しい。華子を嫌うどころか好いてすらいる梨果。
今ではむしろ、健吾が来ないことより華子がいないことのほうが困る、
とどこかウェイトがシフトしている彼女。
それでいながら、健吾の顔を見るたびに、鈍い痛みが走ってしまう。

…多分に梨果の複雑な視点で書かれていますが、
それを中心に、華子のどこか「哀しい」虚無感や、不思議ななぞめいた部分、
健吾の複雑な華子と梨果の関係への気持ち、自分に対する気持ち、

ちょっと考えられないですが。
もし自分に「元恋人の現在の彼女がやってきて一緒に住もうと言ったら」とは。
…そんなことが起きたらどうなってしまうのだろう。

というのは置いておくとして。
梨果が少しずつ華子によって「解き放たれて」いくような、癒されていくような。
華子はどうだったのでしょうか。
彼女の背負ったその謎めいた「重荷」は、梨果と共に暮らすことで、
少しは軽くなったのでしょうか。


     


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