エリザベート

愛と死の輪舞(ロンド)



著者:小池 修一郎
原作:ミヒャエル・クンツェ
出版:角川文庫
ISBN:4-04-344501-6


これは、ウィーンのミュージカル「エリザベート」を原作とし、
宝塚歌劇団で上演した舞台「エリザベート」のノベライズです。
宝塚で演出をされた小池先生が書き下ろしたものですが、舞台の雰囲気がそのままに味わえます。
ところどころ「ああ、そういうことだったのね〜」というような部分がたくさん。
これを読んでから舞台を見ればよかったなぁとかも思いますね。

宝塚、と聞いて引いてしまう人もいるかと思いますが、
単純な歴史小説としてもとても面白いものです。
あの、ひげの皇帝、フランツ・ヨーゼフ1世の皇后で、美貌で名高く、旅好きで
オーストリア・ハンガリー二重帝国に君臨し、またハンガリー語を自在に操る皇后エリザベート。
一人の孤高の皇后エリザベートの生涯を描いたものとしても十分に楽しめるのでは。
エリザベートは今なお、ハンガリーでは人気があるといいます。
本国オーストリーよりも、ハンガリーを愛したエリザベートの面影があちこちに残ります。

バイエルンの大自然の中で「貴族らしくなく」育てられたシシィ(エリザベート)が、
皇帝に一目ぼれされ、皇后として、厳格なハプスブルク家に入り、
数々のしきたりの中で姑のゾフィー皇太后とぶつかり、
自由を求めてさまよい続け、それでもなお自分らしさを失うまいとするその姿勢は
何となく哀れで、美しく、凛としているように思われるのです。
その美貌を保つための生活はもうすさまじいほどです。
現代で言えば間違いなく拒食症かなぁ…と思いますが(苦笑)
けれど、「皇后として」の自分と「私」としての自分。
ほしかった女性としての幸せなどなどが、浮き彫りにされるような気がします。
もちろん史実と異なる部分はあるのですが。

そして忘れてはならないのが「トート(死神)」の存在。
宝塚版ではトートが主役です。
愛してはならない生きた人間を「死」であるトートが愛してしまう。
そこからこの物語がスタートするのです。
常に「死」と向き合い、人に裏切られ、愛するものを失い
その中で「死」から寄せられる愛ー死への誘惑ーを振り切り、
最後まで己を貫く生き方が描かれているのです。
もちろん最後には、その「終わりなき」愛を、エリザベートは受け入れるのです。
もしよければ、この作品、宝塚の代表作としてベルばらなどなどの仲間入りをしそうですので、
どうぞ観てみて下さい。あ。でもエリザベートみると他のが見れなくなるかも…(苦笑)

    


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